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百鬼夜行に遅刻しました

 オリジナルの小説を中心に 偶にゲーム 時々映画 稀にミステリー 膝には猫で お送りしたい所存です。

終わりの旅  

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移動メリーゴーランド オヤジ達 楽しそうだなぁ…

偶には こーゆー話もいいかなと ほのぼの系かな
あくまでも小説と言う事で 興味のある方は 下記からどうぞ。


    終わりの旅

 僕はオヤジと二人で 欧米を中心に 約一年間 旅をしていた事がある。
それも 小学校入学前 年齢で言うと 幼稚園児に当たる頃だ。

其れは 終わりを捜す様な旅だった。

そう オヤジの我侭が齎した旅
病に蝕まれたオヤジは 動ける内に 旅がしたいと言い出し そして 実行した。
流石に 病人の一人旅は 余りにも無謀と…
幼く 何の役にも立たない 僕が オヤジのお目付け役 兼 無鉄砲を止める
ストッパーとして 付いて行く事となり
いや オヤジが 連れて行きたいと 

オヤジは 僕に何を残そうと 僕に何を刻みつけようと 今の 僕には解らないが

僕とオヤジは ギリシアのアテネに足を踏み入れる。
早春 いや 冬の終わり 未だ 肌寒く 水しか出ないシャワーに震えていた。

何も 急ぐ事のない 目的も 目標も 何もない旅。
遺跡の片隅を揺蕩い 美術館では忘れ去られたかの様な情景を覗き込む。
街中では 全く解らない言語の 流行歌を聞いていた…

僕も オヤジも 除々に 徐々に 言葉を忘れたかの様に 喋らなくなっていった。
別に喧嘩をした訳でも 仲が悪い訳でもない 
唯 唯… 何だろう… 必要がない からだろうか。

自分自身から 徐々に 様々なモノが削ぎ落とされ 剥き身の刃先の様に
自身が纏っていた余裕 余分がなくなり
個がなくなり 自身が 薄く 薄く 希薄になり広がっていく。
そして 同時に 自身が堅い殻に 閉じ篭って行く 閉じ込められて行く。

相反する感覚が 同時に 僕を蝕んで 侵食されて 

何時しか 旅が日常と取って代わり 終りを捜し始める。

僕とオヤジの旅の終りも また ギリシアのアテネだった。
路線バスの運転手が カセットテープを取り出し 音楽をかける。
イーグルスの ホテルカリフォルニア だった。

此の旅に出て 初めて 以前より知っている歌を聴いた。

僕は 此の旅が終わった事を 知った。

そうそう オヤジですか 死にましたよ。
旅から帰って 三年後に 家で 眠りに付いて 其の儘に…
最期まで 我侭で 家族に迷惑を掛け捲る オヤジでしたよ。
     
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category: ほのぼの

コメント

人は病であろうがなかろうが、どうなるか分からない。
だから今のうちに・・・と小説の中の親父さんは思ったのでしょうね。
なんだか随分リアリティがある話でしんみりしました。
人生は生き死にを見る話でもありますね。

URL | LandM #-
2012/03/11 09:01 | edit

 やばい、不覚にもじんときたぞ。
 旅っていいですよねー人生の最後に旅に出るってなんかかっこいい。まあただの我が儘だとしても。
 特に最後の所!すごく好きです

URL | 移 慧 #xp5FgOFA
2012/03/11 09:40 | edit

LandM さん へ

 こんにちは。
本当に どうなるか分らない 安定した安全な 普通の人生が
なかなか 手に入れることが難しい。
人生を 楽しめる人は 強いよ。
最近は 精神を病む方も 多いしね…

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2012/03/11 12:40 | edit

移 慧 さん へ

 こんにちは。
こーゆータイプは 友達の友達程度の関係で 安全な所から
友人が巻き込まれてぼやいているのを  眺める程度がいい。
直接の友人に持つと 限りなく苦労する。
でも 必ず 何故か一人ぐらい こーゆータイプがいる…

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。 

URL | ウゾ #-
2012/03/11 12:46 | edit

素晴らしいものを残したと思うなぁ。

わたしが猫国を書けたのも父親の昔話があったから・・・
DNAとかそんなんじゃない。
形じゃないものを残してくれた。

URL | ぴゆう #-
2012/03/11 20:59 | edit

自分の命の限りが分かったとき、私ならどうするだろう。
このお父さんのように旅に出掛けられるだろうか・・・
ある意味強い人だと思ったりする。

自分の最後。
誰にも迷惑をかけず、ひっそりと・・・がいいな。

URL | チビmomo #-
2012/03/11 21:52 | edit

のくにぴゆう さん へ

 おはようございます。
うん 何を残したのか 其れが解るのは まだまだ先なのだろうな。
でも 何かは残っているし 何かは刻み付けている そう 信じたいよ。
本当に 単なる オヤジの我侭だったのか 何か 考えがあったのか
それは 解らないけどね。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2012/03/12 07:10 | edit

チビ momo さん へ

 おはようございます。
人 色々でしょうね。
オヤジの様に 命を見切って 旅をする事が 強いのか
病院で最後の最後まで 積極的な治療で 諦めないことが
強いのか…
自分も 最後 如何するのかな…
花の下にて春 死なん… 憧れるが 家族にも 周りにも大迷惑
やはり 静かに ひっそりとなのかな。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2012/03/12 07:18 | edit

私のように人生も半分くらいを過ぎると、色んな景色を目に焼き付けたいと思う衝動が強くなってくるんですよ。
で、その景色を誰かと一緒に共有したいと思うんですよ。
愛する人とかね。
息子なら尚更その感が強いでしょうね。

URL | NYANKO君 #5p4vzfrw
2012/03/12 08:06 | edit

NYANKO 君 さん へ

 こんにちは。
軽々しく 解るとは言えない感情ですが 自身が やがて 消えてなくなる。
其れを 受け入れる為の 理解する為の 何かと思えてくる。
自分が 消えた後の為に 残るモノ達への思い
未だ 僕には 難しい感情です。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2012/03/12 12:18 | edit

ああ、だからなのですね。
普通の子供なら20歳くらいで負う役割を、この小説の主人公はこんなに若くして背負ってしまい、だから義務教育を受ける頃には、もっと大人に……。
なんだか、すべてが腑に落ちました。

辛い思い出と、美しい思い出が、複雑に絡み合っている。
文章と写真は、まるで十九世紀のもののように、美しい懐かしい色に変わっている。
きゃぴきゃぴした大学生が携帯で撮る海外旅行の写真やブログ記事と対極の色彩。
まるで、アガサ・クリスティやサン=テグジュペリがした旅行のような。

主人公のお父様のご冥福をお祈りします。
それと残された主人公やご家族の傷が癒されますように。

URL | 八少女 夕 #9yMhI49k
2012/07/21 01:35 | edit

八少女 夕 さん へ 

 おはよう御座います。
いやぁ… もともと あまり感想を求める様な作品でもないのですが 感想有難う御座います。

確かに このブログ 文章硬いし 写真は妙に かすれて ぼやけているし…
謎の人物と思われてしまうのも 仕方ないかな。

傷が癒えたといえば嘘になるし 傷から血が滴っていると言っても嘘になるし
時間が 全てを洗い流し 思い出が愛しく 美しいモノになった訳でもない
其れでも 好き勝手 我侭 そして 自分を肯定する人だったので
時間の経過と共に笑い話に出来るだろうと思える。

祈って頂いて 有難う御座います。

コメント有難う御座います とても嬉しいです。

 




 
 

URL | ウゾ #-
2012/07/21 06:42 | edit

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