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百鬼夜行に遅刻しました

 オリジナルの小説を中心に 偶にゲーム 時々映画 稀にミステリー 膝には猫で お送りしたい所存です。

猩々緋 の秋  

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色とモノシリーズ 今回は猩々緋 燃える様な赤ですね。

下記からどうぞです。



      猩々緋 の秋

私の兄は芸術家だった。
芸術で生計を立てていると言う意味での芸術家ではなく 生き方が芸術家だった。
だからと言って 売れない 自称芸術家と言う訳ではなく 其れなりに名を知られ 其れなりに売れ…
芸術で生計を立てていたのだから 芸術家と称しても可笑しくはない立場だった。

そう 私の兄は画家だった。
そして 何時も 芸術家である事に苦しみ 呪っていた。

何故かって 私は芸術家ではないので 兄の真意は解らないが…
人生が苦しいと 美しさが苦しみとなってしまうのだと…

降り止まぬ雨の様に 舞い落ちる色付いた木々の葉 
美しいと賛美をしたいのに 其の目に焼き付いた色を 其の耳は聞き取った風の音を 匂いを 手触りを…
其の手は描き出そうとする。
兄は 何時も口癖のように呟いていた 神がライバルだとは 割に合わないよ。と

神が創り出した美しさに酔いしれ 神を賛美し 人を愛したかった。
それなのに 全てが違う方向に走り出して 転がり落ちる石は自分では止まる事が出来ない。
止まる時は 何かにぶつかって砕け散る時だと
兄はそう言って 画家を止めて 別の職に付いたらどうだと言う 私の勧めを軽く笑って断った。

兄は… 私の兄は
先に 言っておきます 今は 幸せそうに微笑し そして無邪気に神を賛美していると

兄は転がり落ちる石を 転がっている事を忘れる事に拠り止まった。
兄は 自身で潰したのですよ 見えない様に。
兄は思い出の中の美しい風景を 季節を 自身で見る事の出来ないキャンパスに描き出す。
無邪気に色を塗りたくり…

私には分らない 芸術への執着は そこまでしなければ解き放たれないのか。
芸術とは 祝福ではなく 呪いなのだろうかと
非才の私では 兄の真意を窺い知るすべもなく 唯唯 今は静かに笑っている兄の横顔を見詰め
個展依頼の書類をすべて 兄に知らせる事無く灰に還した。
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category: 色とモノ

コメント

芸術家って(小説家も含めて)心を病んでしまう人が多かったようにかんじます。
きっとそれは感情が繊細すぎてしまうからなんでしょうね。生きている時代や環境の影響も大きかったでしょうし。
画家にしても、絵を描く前に宗教感や哲学に心を持っていかれてしまって・・・。
彼らは思想家になってしまうんだと思うんですよ。
本当に絵を楽しみ、自分の想いを色彩や造形に表現できる人はきっと強いです。
このお兄さんも、繊細ゆえに苦しんでしまったのかな・・と感じました。

ああ~、芸術の秋ですね。
最近は映画も美術館も行っていないし。芸術的な何かに触れないと錆びてしまうかな・・・。
なんて、ウゾさんの物語に触発されました^^

URL | lime #GCA3nAmE
2014/11/05 07:41 | edit

limeさん へ

 こんばんは。
うん 僕の感覚では 特にギャグ漫画家が精神を病んでしまう方が多い様に思いますね。
精神を病まなくても 短命だったり…
笑いを表現するのが 一番難しく 一番才能がないと出来ないのかなぁと思えます。
其れに対して 結構 グルメモノとか歴史モノとか シリアス系を描かれる方って 息の長い そして 家庭的にも安定した人生を送っている様な…

うん 絵画はやはり 美術館にいって その場で見るのがいいですよね。
博覧会や絵葉書では 魅力が半減って感じがします。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2014/11/05 18:20 | edit

まず何より

タイトルに出てくる猩々緋 という色が、文中には書かれていないのに、なぜか最後でお兄さんが描いている絵がこの色に見えるから不思議だなぁ、と思いました。きっと最後に目に焼き付けたのがこの色の秋の景色だったんだろうなぁって、勝手に想像しながら……

そうそう、芸術家って、ほどほどには出来ない人が危ないですよね。いや、芸術家でなくても「ほどほど」ができない人は危ないですよね。でもって、芸術の世界はほどほどにしていたら、「神の領域」には近づけないんですよね。でも、高みを目指したら、バベルの塔みたいに崩壊しちゃう。
で、実は見る方も色々。ずっとゴッホ見てたらしんどい。「俺はゲイジュツに命をかけてるんだ~」ってのじゃなくて、ほわんと手抜きをした絵を見たいって人もいるし。
人の幸せって、なんでしょうね。見えすぎると、聞えすぎると、どうしても完璧を求めてしまう。半分目をつぶったほうが、幸せにその世界に触れることができるってのが、本当に皮肉ですね。

あれこれ考えながら読ませていただきました。
あ、私もlimeさんと同じように、芸術の秋しなくちゃ~と思いました(*^_^*)
まず洋ちゃん(大泉洋さん)の映画見に行こうっと!(ん?)

URL | 大海彩洋 #nLQskDKw
2014/11/05 19:20 | edit

お兄さんは、芸術で食べて行くという事に嫌悪感があるのかしら・・?
その気持ちを弟さんは、きっと解っていたのね。
もっと純粋な目とか気持ちで絵を描きたかったのかしら・・?
生活、という物を切り離して純粋に絵に没頭したかった・・・ってこと?

ユトリロは、生前結構売れていたらしいし、多作みたいだけど、だからと言って、あの絵
が悪い・・とは言い切れないわね。
ただ、なにか媚びた感じはするのよね、女性ウケするっていうか。。
だから・・・売れるように描いたんだろうけど、なんか良いわよねー。

コレに対してダ・ヴィンチなんてもの凄く寡作で時間も何年も掛かっているのよ。

じゃあ、どちらが良いのかっていうとやっぱりワカンナイわー★
なんか変な事書いたけど、ユトリロが結構売れていたっていう「事実」を知った時にちょっと「残念」な気がしたのよ。
やっぱり画家は死んでから評価が上がった方がかっこ良いみたいに思えるのよ。
まあ、固定観念だろうけど。

URL | ペチュニア #-
2014/11/05 20:13 | edit

こんばんは

創造神に対抗したりしようとしないで、「きれいだね〜」と楽しめる凡人はきっと幸せなんでしょうね。

この「私」も、「きれいな秋だね〜」といえる凡人の幸せをもって生まれてきたのに、心から楽しめないみたいでお氣の毒です。こういう身内をもつと、本当に大変です。身内じゃなければ「ま、私は関係ないし」と忘れられるんですけれどね。

こちらの美しい秋は、現在、とても重い雪に覆われて、かなりヤバいことになりそうです。やっぱり冬が来ちゃいましたね。

URL | 八少女 夕 #9yMhI49k
2014/11/06 06:43 | edit

大海彩洋さん へ

 こんにちは。
ほんとに 芸術って答えのない分野ですからね 何時までたっても 何処まで行っても満足できない。
ほどほどを愛する事の出来る性格でないと 辛い道ですよ。
そんな中で… 一気に神の領域に近付く様な才能持ちがいたりするから 余程図太い精神の持ち主でないと 病んでしまう。
芸術って おそらく下手の横好きレベルが一番楽しいのかもと思いますね。
イラストを見ても 此れだけ描けたら楽しいだろうなぁと上手な方のイラストを見ると思うのですが
上手な方は 自分の限界やさらなる上が見えて辛いのかなぁと…
無邪気に楽しめるレベルがいいのかなぁ…

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2014/11/06 15:54 | edit

ペチュニアさん へ

 こんにちは。
ある程度の才能があるが故に 自分の至らなさが解ってしまい 自分の限界も見えるし…
楽しいと思って描けなくなっていたのかなぁ…
もっと子供の頃の様に 唯描く事が楽しかった気持ちを失くしたのが辛いとか…

ユトリロ… あの柔らかい白は魅力的ですよね。
大衆に媚びたと言うよりも 時代の流行に乗ったのでしょうか。
イギリスの画家のターナーとかも凄い多作ですよね。
あの方 作品によって凄く雰囲気の違う作品を描かれて… 絵を描く事のストレスを違うタッチの絵を描く事で紛らわしていたのかと勘ぐってしまう。
死んでから評価が上がる… 死んでからも評価が上がらず消えていった画家が数多いるのかで 死んでからでも再発見されるって運がいいのでしようね。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2014/11/06 16:21 | edit

八少女 夕さん へ

 こんにちは。
此方関西も 今年の冬は雪が多いとの予想の様です。
昨年も多くて… 雪で学校が休みになったからなぁ…

うん 綺麗だなぁと見惚れる事が出来て 楽しめる幸せですよね。
美しいモノを見ると 描き出したいという衝動に駆られてしまって 楽しめない 辛いですね。
そう 身内だと… 何となく理解はできるが…って状態ですからね…

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2014/11/06 16:28 | edit

18:46に拍手コメント頂いた方 へ

 こんにちは。
うん 本当に目の前に見える其の儘に写す 唯 其れだけの事が難しいよね。
写真って ほんとに奥が深いなぁ… 単なる旅先の記念写真から一歩踏み込んで 目の前のモノを撮りたいと思っても 中々思っている様には撮れないよ。
其れでも 一年間に数枚程度はお気に入りの写真が撮れるから 嬉しいのだよね。

拍手コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2014/11/06 16:33 | edit

私に小説を書いているという自負がそこまであるか。。。。
と言われるとない。
そんなものはとっくに捨てた。
それに悩む時期は若い証拠です。
・・・・と思っているが、実際にはどうなのだろうか。


プロフェッショナルな小説家は小説に悩む。
そういうものは難しい境地ですね。。。
特に芸術なんて努力して
甲斐があるかどうかわからないですからねえ。。。

URL | LandM #-
2014/11/06 20:06 | edit

LandM さん へ

 こんばんは。
確かに 妙に自負心の高い方いますねーー
其れが 妙な方向に高いと厄介ですね。
プロとしての自負心を持っていて 求められる仕事を完璧にこなすならばいいのだけど…
勘違いラーメン屋オヤジのような自負心はいらないかな…

まぁ 自分に出来る事 出来る範囲が解ると悩みも軽減されるのか はたまた 悩みが増すのか… 悩ましいですね。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2014/11/07 17:00 | edit

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