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百鬼夜行に遅刻しました

 オリジナルの小説を中心に 偶にゲーム 時々映画 稀にミステリー 膝には猫で お送りしたい所存です。

幽霊を待ち侘びて  

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幽霊 終わりです やっと終わりです。

下記からどうぞです。



      幽霊を待ち侘びて

 ゆっくりと時は巡り…
私は 幾度か三年生の担任を持ち 幾度かはクラスを持たない年もあり
唯 山田君 そして 桜木さんの担任であった事は あのたった一度だけで 再び幽霊の担任になる機会は
巡ってこなかった。

そして 私は不思議と懐かしい既視感を覚えていた。
学校とは 不審者から学生を守る為に ある程度閉鎖性がある為 
学校は 地域から切り取られたように孤立している。
場所としての孤立。

私は最近… 学校とは時間からも孤立している様に感じていた。
中学校を卒業し 少年とも青年とも言い難い年齢の一年生が入学してきて そして 三年後には去っていく。
繰り返される 違っているのだが同じ 同じなのだが違っているのだろうか…
同じ年齢の学生たちの 何時も聞いた様な他愛もない会話を 何時ものように科学実験室で聞いている。
何時までも 何時までも青春真っ盛りの年齢の中で 私だけがゆっくりと年齢を重ねていた。
私は… あの時実験室でケーキを丸ごと食べた連中の 卒業後を知らない。
あの机を倒した あの学生の卒業後を知らない。
私は 何かの罰を課せられているかのようだなと 自嘲気味の気分に囚われていた。

ひょっとして… 山田君 そして 桜木さんとは 学生ではなく教師側の 
此の閉ざされた 切り取られたかのような時間から 此の延々と繰り返される終わりなき青春から逃れ
成長した学生達と一緒に酒を飲むといったような 叶えられる事のない願望を持ってしまう事への
免罪符なのだろうか。
心の奥底で 何時も何時も気にかかっている 一時期関わり合い通り過ぎて行ったものたちと
一緒に成長していくもの…

何をセンチメンタルに囚われているのだと 私は自身にあきれ返り。
結局 あの公然の秘密として 毎年繰り返される幽霊復活の行事の趣旨も意味も いまだに何も解らない。
いや そう 意味などないのだろう。
其れでも 私は山田君 桜木さんと言った謎の答えを あてどなく探していた。

 … ガリッガリッ…
あの時以来聞く事のなかった音を久しぶりに聞いた。 
科学実験室の何処へも通じていない 部屋が取り壊され扉だけが残り 唯草原に通じている扉の
向こうから音が聞こえてくる よく解らない音。
いや… もっと切羽詰った様な 扉を体当たりしている様な…

ばたりと扉が開けられて ひよっこりと満面の笑顔の女性が驚いた様に言葉を放つ。
「あっ 私 物理の教材を届けに参りました … えっと… 科学の先生はこちらでいいのでしようか…
えっと 今回の教材は…

「あっはい 私が科学教師ですが。…

私は 私の山田君に出会ったようだ。
   

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category: 幽霊を待ち侘びて

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コメント

おお~

なんだか、とても柔らかでやさしいラストでした。

そうですね、思えば教師って不思議なポジションです。
数年間親身に関わっても、生徒が卒業して行けばもう、自分の役割はおわりで。
そしてまた次の子たちが入れ代わり立ち代わり。
その関わりをやりがいにすればいいんだけど、きっと、どこかに自分だけが取り残されてる感もあるんだろうな。
山田君たちは、先生に、一緒に時間を流れようって誘ってくれてるのかな。
答えが有るようで、やっぱり不思議な彼ら。
でもこの先生にも今、別の時間が流れ始めたのかもしれませんね。

とってもウゾさんらしい、不思議で優しいお話でした。

URL | lime #GCA3nAmE
2015/05/12 07:20 | edit

limeさん へ

 こんばんは。
うん 教師って 何というか… 少し世間から外れたポジションですよね。
学生が大人になり 社会人になり 其れでも なかなか先生と言う箍が外れない。
先生と元学生で… なかなか二人の社会人といった感じになれないのですよね。

うん 学校って学生の年齢が何時も一定で 高校なんて青春真っ盛りで その中で 先生だけが年を重ねて行って なんか 少し不思議ですね。
まぁ 結局 山田君って何なのか なんでもいいんでしょうね。
人生の暇潰し的に 意味を探し 答えを見つける 其の為の謎でいいのかな。
そして 結局 意味はないに行き付くのかな。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2015/05/12 20:19 | edit

19:47に拍手コメント頂いた方 へ

 こんばんは。
夜になってから 荒れていますねーーーーー 風が吹き荒れていますよ。
今日は 随分と涼しい一日でしたからね… 明日は天気持ち直すのかな。
うん 僕 最近 病院行ったのですが… 朝の九時半に受付を終えて 診察受けたのが 昼の一時半… 会計を終わらせて家に帰ったのが三時ごろ…
少し体調悪い程度で病院に行ったのですが 凄く疲れたよ。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2015/05/12 20:26 | edit

そっか

こんばんは。

学校って、生徒が中心で、先生は生徒のために存在しているように思うけれど、でも、先生にとっては普通の職場で、時間は普通に流れていて……。

山田君と桜木さんと同じように、ずっと存在するのはむしろ先生の方なんですよね。
「山田君ってなんですか?」って、新任教師に訊かれるようになったら、この学校では先生も一人前なのかもしれませんね。

URL | 八少女 夕 #9yMhI49k
2015/05/13 02:16 | edit

八少女 夕さん へ

 こんばんは。
そうですねーーーー 山田君と桜木さんの行事を なんとなくそーゆーモノだと受け入れる事が出来る様になったら 教師としても人としても 少し成熟した印なのかも知れませんね。
学校って 学生のために存在しているのですが 時期が来れば去ってしまって 卒業後は 急激に其の学校がよそよそしい存在になるのですよね。
なんかね 学校って 学生以外にとっては 凄く居心地の悪い場所みたいですね 面白い特殊な場所ですよ。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2015/05/13 20:45 | edit

そうかぁ

生徒たちは卒業して行ってしまうけれど、教師はずっとそこにいるのですものね。むしろ、山田君や桜木さんが必要なのは先生の方なのかもしれないですね。いつまでも変わらないもの。生徒が大人になったとしても、魂のどこかがあの時のまま残っている、そういうものが校舎の中にはあるのかもしれませんね。山田君や桜木さんは、その残された魂、生徒たちは彼らにその時代のその時の自分の魂だけを残していってるのかもしれませんね。
なんか、分かるなぁ。これって「ミツバチのささやき」のアナのあの輝きが映画の中にだけ残っている、あの感じ。

で、最後は……えっと「私の山田君」!?
恋、じゃないですよね? 何だかドキドキしてしまったのは深読みしすぎかしら。いや、教師も生徒も校舎の中では疑似家族、疑似恋愛の状態なのかも……(あ、大人って、こまった生き物ですね、す、すみません)
学校という閉鎖された空間に残されている教師へ捧げる物語、なのかも。
楽しく拝読いたしました(*^_^*)

URL | 大海彩洋 #nLQskDKw
2015/05/16 09:26 | edit

確かに先生というのは・・・どういう職業だろう。
どの職業でも隔絶したものはありますが、奇特な感じな職業ですよね。
私も免許だけは持ってますけどね。。。
なろうとは思わなかったな。。。

先生は先に生きる人。
誰でも先生でなければならないですけどね。

URL | LandM #-
2015/05/16 12:07 | edit

大海彩洋さん へ

 こんばんは。
あの頃と言うか あの年齢の集団は 訳の分からないモノを生み出してしまいそうな熱を持ってますよね。
生々しい 暑苦しい 息苦しいような妙な 痛い感覚。
学校って夜や夏休みには 幽霊と言うよりも ふっとした思い出が歩いてそうな…
ふっと 三十年前の学生が木陰に佇んでいたり ありそうなのですよね。
学生って 人生の中では ほんの短い期間なのだけど 生々しい不器用な年齢のせいか 思い出深いだろうなぁと。

うん 最後は 開かないと言うか 開けると言う考えさえ思い浮かばない扉を突き破ったと言う事で…
そして 最後の女性は誰でもいいのですが 教材の業者さんと言う事で 恋愛感情を持っても大丈夫な年齢と言う事で。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2015/05/16 22:03 | edit

LandM さん へ

 こんばんは。
うん どんな職場でも 色々な人間関係がありますが 教師って 相手の生徒が何時も一定の年齢って処が 特異ですよね。
先生って 結構 孤独な職業なのかなぁって感じますね。

うーーん 先に生きる人かぁ… 中々 難しい…

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2015/05/16 22:09 | edit

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