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百鬼夜行に遅刻しました

 オリジナルの小説を中心に 偶にゲーム 時々映画 稀にミステリー 膝には猫で お送りしたい所存です。

蝶の恋  

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雪印乳業が… 春の陽気で何を思ったのか…「オレたちの ゆきこたんプロジェクト」を
立ち上げている。

雪印コーヒー は 今年で五十周年を迎え 一日に五十万パック出荷される人気商品
社内では 雪印コーヒー を略して 雪コーと よばれているとか。

そこで 五十周年の節目に ゆきこたんと言う 擬人化キャラを誕生させて 皆で ゆきこたんを
画いてくれと言う 企画です。

賞金は二十万円 其れよりも 何よりも 選ばれると この夏 特別パッケージとして 
一日 五十万パック出荷される 雪印コーヒーのパッケージに印刷され 自分のイラストが
店頭に並ぶのですよ!!!!
此れは イラスト描いている方にとっては 凄く嬉しいのでは… 


そして 今回の掌編は 珍しく恋愛モノ 其れも まったく爽やかではない…

興味のある方は 下記からどうぞ。




    蝶の恋    

 其の南国の蝶は蠱惑的で 私を挑発するかのように 鉱物の様な色彩の羽を広げる
私は 舞い落ちた鱗粉の一筋を辿り 辿り…

そして 辿り着いた。

一枚の 鮮やかで大きな蝶が描かれた絵葉書 異国の単色の切手が貼られた 南国の小国からの便り。
恰も 科学者か哲学者が戯れに 書き綴ったかのような…
風の事 雨の降るさま 星の軌道を 徒然に。
 
彼は 恋人ではなかった ましてや 友達でもない そして 私の数多いる取り巻きでもなかった。
そう俗にいう 友達以上 恋人未満と言うような 甘ったるい関係でもない。
恋人の様な愛情はなく 友達のような信頼もない 憎悪と言う言葉が 一番近いだろうか。

おそらく 私は 彼を憎悪していた。
私を愛さない 私を 女と見做さない 彼を…
私のプライドを踏み躙る彼を 憎んでいた。

二十歳代前半の 私は 鮮やかに咲き誇り 香り立つ 毒々しいまでの華 女という性 其の儘だった。
派手派手しい表情で 感情をあからさまに表し
女性である事を強調するかのような服装を好んで身に着けて
必要以上な自信と 尊大さを 隠す事も知らず 名前も知らない 数多と群れていた。

そう 彼は 彼だけは 私には女性を感じないと

 … 君には 闇がないね。

その様な 彼からの送られてきた 取り止めのない言葉を綴った 異国からの絵葉書。
私は 底意地の悪い 歪んだ幸福感に身を浸していた。 
恰も あどけない 幼い子供が 無垢な笑顔を浮かべながら 蝶の羽を毟り取るかのような
抑えられない 禁じられた遊び。

私は 其の美しい蝶が 振り落す一筋の鱗粉を辿り 異邦人となる。


彼は 私が憎悪していた彼は 其の儘だった。
十年前と同じ様な 時が止まったかのように 薄い胸板に 鎖骨の薄い翳が揺らいでいた。   
そう 彼は 私に女性を感じないと 言ったが 私にとっても 彼は 男性ではなかった。
彼は 闇だった。

彼は 病む事と引き換えに 時が止まったのだろうかと 疑うほどに…

腐り堕ちる寸前の様な 甘ったるく 酸っぱい 刺激臭  
揺蕩い ゆっくりと傾く日差し 濃く 深く 影は其の触手を伸ばし
そして 通り過ぎる スコール。

私は 自身の歪んだ欲望を持て余し 其れでも 私は よく笑い 怒り 幸福だった。

短い宵闇の 涼やかな風に身を浸し 知らない鳥が 甲高い鳴き声を響かせる。

「何故 此処にいるか 日本に帰らないのか いや 高度医療が可能な国で治療を受けないのか。」
私は 病に侵され 確実に 死が近づく彼に…
私は 彼の身を案じている振りをしつつ 唯 彼を 私の近くに 彼を自分のモノに
したいだけだったのかも知れない。

「帰らない 此処で 此のまま。お願いだよ 此処で 此のままに…」
彼は 微熱に浮かされたかのように 無垢な少年が 冒険の夢を語るように 自分の死を語った。

私の手をとり 赦しを乞うように お願いだよ と 繰り返す。

私は ありありと思い浮かべる事が出来る。
彼の死に伴う 事務処理を 淡々とこなし 葬儀を執り行い…

そして 私は 白い 白い カサカサと音を立て崩れ落ちる骨を 抱き締め 日本に帰るだろう。
彼の最後の願い この 南国で眠りたいと 私にこい願った 彼の思いを 私は踏みにじる。

私は すべてを許し 与える様な愛を 知らない 
私が知っているのは すべてを奪い 欲望のままに壊す 恋だけ。

私の中で コトリと 闇がうまれた。
  
     
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category: 恋愛

コメント

恋人どころか、女とも思ってもらえない……。
でも、最後の瞬間に側にいることを望んでくれる特別な存在ではある。
本当は、そっちのほうがずっと特別なのに。
恋愛関係なんて、百人とでも持てるけれど。

彼女は遺骨を本当に持ち帰るのでしょうか。
私には、そう言いながらも、彼の楽園に一緒に埋もれたがるような、そんな一途さをどこかに感じます。憎んでいるという言葉が、愛の告白であるのと同じように。

URL | 八少女 夕 #9yMhI49k
2013/04/05 06:43 | edit

八少女 夕 さん へ

 おはよう御座います。
それなりに 親しい男女でありながら 恋人ではなく 友人とも言えない…
実際には あり得ないような関係でしょうね。

ああっ 一緒に埋もれたがるでしょうもね。
日本に持ち帰るのも 彼の体だけでも 自分のモノにしたい為 心を自分のモノにする事はできないから…
其の埋もれる場所が 南国なのか 日本なのか…

此の女性は 実際の女性の方から見ると 嫌われる人物かなと 恐る恐る書いてみました。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2013/04/05 07:23 | edit

そういえば、Pixivで、そんな企画をやっていましたね。
以前、CCレモンが、擬人化イラストを募集したのをみたのですが、その優秀作品は、ジブリも真っ青な、すごい完成度でした。

今回も、すごい力作が揃うんじゃないでしょうか。
それとも、意外と、ゆるキャラみたいなのが、選ばれるのかな・・・・。
楽しみです。

URL | lime #GCA3nAmE
2013/04/05 07:50 | edit

lime さん へ

 おはよう御座います。
六人選ぶようですね。 
そして 其の六人を コーヒーのパッケージに印刷するようです。

六人も選ぶと言う事は 各種色々と趣を変えてくるでしようね。
和風 洋風 子供 等々…
この夏 特別パッケージとして販売ですから 楽しみです。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。 

URL | ウゾ #-
2013/04/05 08:09 | edit

こんばんは。

ゆきこたんか(笑)
今たくさん生まれてる地域のゆるキャラみたいだ。
でも、自分の書いたイラストが全国の食卓に並ぶと思うとすごく魅力的なプロジェクトだね♪
ウゾさん、もちちゃんを書いて送ってみたらいいかもよ(=^・^=)

そしてこの女性は、彼の遺骨を日本に持って帰る事で、願いを聞いてあげなかったという、彼に対する意地のようなでも実は心の奥では愛してたって気持ちのような気がしたよ。

URL | チビmomo #-
2013/04/05 19:38 | edit

面白いです。

女と男の間、そりゃあもうどうしようもないですな(^^)

URL | ポール・ブリッツ #0MyT0dLg
2013/04/05 20:50 | edit

チビmomo  さん へ

 こんばんは。
おそらく イラスト描かれている方にとっては 賞金の二十万円よりも 自分のイラストが 
スーパーにバーーーンと並ぶ。
凄く 嬉しいでしょうね。
いえいえ もち姫は 僕の恋人!!!!! ダメ スーパーに並ぶのはダメ!!!

実際は 如何するのか 其の時にならないと分からないですが…
彼の心を独り占めできなかったから せめて 体を持ち帰りたいと言う 独占したい でしょうか…
彼を魅了する事ができなかった事を 認めたくない そんな気持ちでしょうか…

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2013/04/05 21:00 | edit

ポール・ブリッツ さん へ

 こんばんは。
有難う御座います!!!
まぁ 根本的には 理解できないのでしようね…
というか 理解できないから 幸せなのでしようね 異性の考えが理解できると 面白味ないですね。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2013/04/05 21:06 | edit

ゆきこたん……?
何か想像して寒気がしたのは俺だけでしょうかw

異性とのやり取りって同性とのやり取りは
何か変に気恥ずかしくなるのはお約束なんすかね。

俺も大学という場に入ってみて、男子と話すときと
女子と話すときでは全然気分がちゃいますからね^^;

URL | シュナイダー #-
2013/04/05 22:49 | edit

不思議で…

不思議で、優しくて、怖い…熱くて冷たい…苦しくて幸福…
あれこれをこの短い文章の中にちりばめて……
文章は短くてコンパクトなのに、書かれた世界はあちこちに散らばっているような、不思議な感じがしました。

タイトルにある蝶、熱を持つ異国の世界の中にいる男女。
人間なのか、別の生き物なのか、あるいは幻なのか……
生殖のために何千kmも旅をするという蝶を思い出しました。
傷ついて、途中で行き倒れていく蝶たち。
その残酷な光景の中に、逆に見るものを恍惚とさせる光と影がある。

うーん、これは酸いも甘いも味わった大人の書くものです…ウゾさん。
ウゾさんこそ、不思議の大元。

URL | 大海彩洋 #XbDIe7/I
2013/04/05 23:14 | edit

シュナイダー さん へ

 おはよう御座います。
ゆきこたん… 夏発売のパッケージだし 少し程度 涼しげでも問題ないかとーーー
そして 冬には 冬には 雪は付き物 風流 風流と言う事で…
既に 雪印コーヒーのパッケージ 小さく 萌えキャラが描かれて 宣伝していました!!!!

へぇーーーー そんなものなのですね。
確かに 気恥ずかしいかなぁ。
まぁ 気恥ずかしさがない 異性は 異性として見てないと言う事なのかな。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2013/04/06 07:23 | edit

大海彩洋 さん へ

 おはよう御座います
難しいです 恋愛もの!!!!
普通の 男子高生が 女生徒を好きになって 告白とか 普通の恋愛モノって 
一番難しくて 書けない…
普通の可愛い 女性って解らなくて… 女性側から見れば 反感を持たれそうな 
ケバケバしい感情的な女性で書いてみました。

うん 有難う御座います 南国の 濃厚な 匂い立つような 腐り堕ちる様な 色やにおい 
その様なモノを書きたかった。
不思議だと 言ってもらえるのは とても嬉しい。
ああっ 確かに 旅をする蝶 あれは不思議な光景ですね。

いえいえ 僕は 単なる 猫好き男子ですよ!!!!

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2013/04/06 07:45 | edit

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