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百鬼夜行に遅刻しました

 オリジナルの小説を中心に 偶にゲーム 時々映画 稀にミステリー 膝には猫で お送りしたい所存です。

逃亡者  

P1300009.jpg


ロンドンの路上では 結構 チョークで描かれた絵があります。
目を惹くほど上手なものから 試しに描いてみた程度のものまで
風景画 人物画 写実的 シュール等々 各種 取り揃えられています。

話し変わって…
よく遊びに行くブログさんの処で 雪と戦場を主題に作品を書かれていたのですよ。
そう言えば 僕も 以前に書いたな と
全く別の掲示板で 三年程かけて 登場人物 六十人以上 時間と空間がループする
作中作も入れる 書きたい物を全て 放り込んだ様な小説を書いていました。
其の小説で 少し触れる人物のエピソード 断片です。
例に拠って例の如く 興味のある方は 下記からどうぞ
 


   逃亡者

 そう オレ達には 名はなく アレ ソレ コレ と 代名詞で呼ばれていた。
オレ達は 其の状況を当然として 何の疑問もなく 否 考える事もなく
いや 考える術を持ち合わせていなかった。

そうして オレは 逃げた。

オレは 辺境の泥沼化している紛争地帯の中で 何の疑問もなく…
此の紛争の主義主張 意義も何も知らずに 紛争の尖兵として 両の手を 血で汚し
血を滴らせていた。

家族は無く 打ち捨てられたのか 拉致られたのか 元から孤児だったのか。
同じ様な境遇の子供達が 同じ様に血を滴らせて…

唯々 オレは 此の紛争の首謀者が 狂信的に 盲目的に
馬鹿げた妄想に取り付かれ 世界の終末に怯え
そして 自身は 自分だけは 其の滅亡から逃れたいと 幼稚な選民思想に陥り
其の精神が 常軌を逸していく過程を 血に餓えた獣の様な双眸を
為す術も無く 見詰めていた。

そして 一つの小さな異変。
此の辺境の紛争地帯に 飄々と現れ 住み着いた男。
男は 宣教師だったのか 単なる 世捨て人だったのか。
ふらふらと 廃墟に住み着き 私塾を開いた。
此の辺境の紛争が 世界の全てであった子供達に 思考する為の道具 学問を与えた。

オレも 散発的に繰り返される 紛争の 合間合間に 私塾に通い
此の男の 話を聞いた。
新鮮だった 世界の広さ 鮮やかさ …
何時しか 世界は美しい と言って 笑い掛けてくれる 此の男を先生と呼び
尊敬していた。
オレは 此の男が 神の愛を説く為 神とやらを信じてみようと思った。

そうして程なく 此の男は 惨殺され 其の亡骸は 広場に晒された。
男は 諜報活動をしていたと看做され… 否 理由など 何でもよかった。

辺境の 閉鎖的な紛争地帯 理解出来ない異質なモノは 何時しか 恐怖へと
変質し 集団ヒステリーを引き起こし…
おそらく 単なる 世捨て人であった男を 狩り 屠り…
残酷に 惨殺された 此の男の躯は 広場に晒され 雪が 全てを覆い尽くした。

何事も 無かったかの様に 広場は雪で覆われ
人も また 何事も無かったかの様に 日常を謳い。

オレは 男を助けてくれなかった 神を 呪い 口汚く罵った。

オレは… 逃げた 耐えられなかった。
人の狂気に 否 自身の 呆れるまでの無知さに
今でも オレは無知だが 其の頃は 自身が 無知である事すら 知らなかった。

吹雪く雪の中を 当所なく 唯 唯 逃げた。
死にたくは無いが 死んでもいいと 思っていた。

オレは 朝日の射す 雪原に転がっていた。
死ななかった 死ねなかった。

オレは一晩で 片目の視力を 失っていた。

オレは 初めて 心より 神への祈りを捧げた。
神は オレが 生きて行く為の 優しい 優しい罰を与えてくれた。

おそらく オレは 今も 逃げ続けている。

    
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category: ファンタジー

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コメント

No title

やるせない物語だなぁ〜
他の言葉が出てこない。

URL | ぴゆう #-
2012/02/01 15:02 | edit

のくにぴゆう さん へ

 こんにちは。
読んで頂いて ありがとうございます。
此の話の本編では 此の後 独裁者が安らかに病死してしまい
それでも 此の独裁者からの洗脳から 解放たれなくて
グダグタと悩み続けるという…

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。 

URL | ウゾ #-
2012/02/01 15:31 | edit

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