FC2ブログ

百鬼夜行に遅刻しました

 オリジナルの小説を中心に 偶にゲーム 時々映画 稀にミステリー 膝には猫で お送りしたい所存です。

バッカスからの招待状  アクアビット  

P5230066.jpg


色々なブログで 神話系題名で一作書いてみよう と盛り上がっているので。
僕も 其れではと…

此の題名は 八少女さんのブログ記事から 拝借しています。

えっ 「イカロスの末裔」ですか… 題名が題名なだけに 妙に壮大な舞台設定になってしまって…
誠心誠意 石橋をたたいて 叩き割る状態で 書き直し中です。

興味のある方は 下記からどうぞ。 


    バッカスからの招待状   アクアビット


 「たとえばの話ですよ。
私が 手間暇を掛け リスクを冒してまで殺人を侵し 彼を楽にしてあげると思いますか。」

猥雑で安全な表通りから 一歩踏み込んだ裏路地の奥底に 看板も無くひっそりと
妙に ぼんやりと黄ばんだ灯が点っている。
素性の知れない男が そして女が 唯 行き交う。

ギシギシと軋む音を立てる 安っぽい椅子に腰を下ろし…
一時は 時代の寵児と持て囃された 才能の無さを努力で補おうと 
所謂 流行作家でしかない それ以上でもそれ以下でもない 唯 其れだけの者が潜む。

「では 違うと言うのか 手を下したのは お前ではないと否認するのか。
あの十五年前の殺人事件 お前は お前の友人を殺していないと 言うのか。」
既に 現場からは遠のき 既に何の権限も持ち合わせていない 唯の男が 
甘ったるく薬品臭い 透明な酒を 舐めるかの様に口にする。

「では 如何様な動機で 私を疑っているのですか 私が 非常なリスクを負う理由は。」
かっての時代の寵児は ゆっくりと 其の双眸を伏せ 男の言葉を促した。

「お前は 友人の作品を 自分の作品として世に公表し 作家としての地位を築いた。」
男は 咽喉の奥底から 言葉を絞り出し指し示す。

「そうですね 確かに 私は 友人の作品を無断で利用し 私の作品として発表して
流行作家としての地位を築きましたよ。
ええ 勿論 友人は怒り狂うだろうと… 
淡々と 淡々と 公表する気もない 書き散らしただけの作品だから 好きにすればいいと。
怒る事も 泣き叫ぶ事もなく 唯 微かな微笑を浮かべて 淡々と 淡々と 受け入れたのですよ。」
自らを嘲る声音が 音程を外して 道化じみた哀しい微笑が 口の端にへばり付く。

「私はね まだ 金を目当てに 強請るなり たかるなり…
私を 脅してくると 待っていたのですよ 
汚く 醜く 私と同じ場所に堕ちてくる事を 希い 待っていたのですよ。

友人は 何も 何も…。

私は 流行作家と言う地位を使い 友人に作品を発表できる場を与えようと 申し出てみた…

罪滅ぼしかって… 馬鹿馬鹿しい 私は 綺麗な顔で 淡々と全てを受け入れ 微笑んでいる友人を
私と同じ場所に堕し 歪み苦しむ顔を見たかったのですよ。
私は 確かめたかった あの 綺麗な顔で微笑む友人も 所詮 人だと…

綺麗に微笑んで 拒絶されましたよ。

知っていますか 十五年前の葬儀の際 私は 横たわる友人の顔を まじまじと見詰めた…
綺麗な 清らかな表情で 殺されたのにですよ。
恰も 天使が やっと天の国に帰れると 安心した様な表情を浮かべていたのですよ。

十五年前に 死んだ事に拠り 私は 永遠に 追いつけない 背中を追いかけている。

私は 友人の作品を利用して 今の流行作家としての地位を築いた。
でもね デビュー作以外は 私が血が滲む様な努力で 一字一字と書き綴っている。
友人が戯れに書き散らかした作品以外は 私が 多くの犠牲を払い…

知っていますか。
出版社の 読者アンケートで 好きな作品との問いに書き綴られる 解答を…
常に 古ぼけた 十五年前のあの作品が人気を集めている。
私の作品群の中で 此の作品だけが 十五年たった今でも 重版を重ねている…

ねぇ 其れでも 私が 友人を殺したとお思いですか。

      
スポンサーサイト



category: ミステリー

コメント

同じタイトルの…

おはようございます(^^)
同じタイトルでつづる物語も、書き手によって、雰囲気が違って本当に面白いですね!
これはやっぱり、ウゾワールド、ウゾ節ですね~
酒場のざわめきの中で密かに交わされる古い殺人についての会話。
なんだかロンドンのバー、酒はスコッチ!という感じがします。
(って、どうしてもウゾさんの書く探偵もの系の舞台はロンドンっぽい……言葉の醸し出す雰囲気が、ホームズちっくで、ついでにワトソン君とかいるし、引きずられている?)
次は、イカロスの末裔、お待ちしております(^^)

URL | 大海彩洋 #nLQskDKw
2013/05/26 07:37 | edit

大海彩洋 さん へ

 おはよう御座います。
僕には 八少女さんの様な お洒落なバーの雰囲気は書けないですよーーー
何故か 僕の書く酒場は 場末の安酒場で ヨロヨロでボロボロの人物が安っぽい酒を口にする…
今度は お洒落系の小説目指してみよう!!!! と言うか 大海さんも 書いて下さいよ!!!
京都の闇の底に ぽっかりと浮かぶように点る 一つの灯 隠れ家 ヴァッカス 
うーーん ああっ 僕は大海さんの小説の雰囲気 京都で想像してしまいます。

うん 此の神話系お題 いろいろな方が挑戦していますからね 書き手に拠り素材の料理の仕方に
特徴がでて面白いです!!!

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2013/05/26 08:31 | edit

男は友人の作品に圧倒された。作品は友人の才能の一つでしかない。
友人は作品を盗まれても心穏やかに暮らしていける才能以外も持ち得ていた。
男は友人の殺した。
15年間、男はあがいた。だが、彼が作家でいられるのは友人の作品のおかげだった。
作品の名声が、友人の亡霊のように見える。それは男の才能の可能性も、自尊心も殺してしまった。

面白いです。

URL | キャサリン #LkZag.iM
2013/05/26 13:11 | edit

(笑)

>何故か僕の書く酒場は 場末の安酒場で ヨロヨロでボロボロの人物が安っぽい酒を口にする…

飲んだくれて、
ゲロ吐いて、
正体を無くした経験があるかのような・・・面白いなぁ。流石だなぁ。

酒場だけじゃなくって、
14歳の貴方が、
十五年前の時間感覚の捉え方が、これまた^^;

それにしても、御題だけを与えて~~って面白いね!
文でも絵でも写真でも、、、各々の個性が出て。
あ、人生観も出るっていぅけど、、、
ウゾさんの場合、
これからまだまだ進化、うつろうであろぅから、
読み手としては、益々興味津々。。。うしし^^

URL | レイまま☆ #-
2013/05/26 13:52 | edit

キャサリン さん へ

 こんにちは。
おそらく この程度の才能の人物が一番辛いのでしようねーー
まったく 才能がなければ 無邪気に書く事を楽しめる 
でも 中途半端に才能がある為に 友人と自分の差が はっきりと解ってしまい 友人の作品を理解し 
自分では追いつけない事が解ってしまう…
でも 足掻いてしまう自分を醜く思えて… 反対に まったく拘らない友人が眩しくうつる。
自分の作品は風化していくのに 友人の作品だけは ひっそりと 何時までも愛好者がいて 
重版を重ねる…
ある意味 残酷な罰ですねーー

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2013/05/26 15:44 | edit

レイまま☆ さん へ

 こんにちは。
いやぁーーー 都会のお洒落なバーで 繰り広げられる 粋な話 書いてみたいですね!!!
嫣然と微笑する美女とか… 其れが 何故か ボロボロなオッサンの話になってしまう…

うん 神話系お題と言うだけで 色々な方が 色々と素材を調理していて面白いですよ。
此の元々の記事を書かれた 八少女さんも同じ題名で小説を一本書かれているのですが…
お洒落れなバー集う美女… 表通りのお洒落なバーなのに対して 僕の方は 
裏通りの胡散臭さ満載の酒場…

今は 中二病真っ盛りですからねーー 後 数年すれば このブログに色々書いていた事が
黒歴史となり バタバタと足掻いているかも。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。 

URL | ウゾ #-
2013/05/26 15:54 | edit

すごいなあ~。
タイトルだけで、こんなにまとまったSSを書いてしまうだなんて。
本当にウゾさん、中学生ですか!
白状するなら今のうちですよ。30歳だって言われても、驚きませんよ。

独特なタッチで、余韻も見事にあって、味わい深いです。
私は、お題小説というものにチャレンジしたことがないのですが、興味深いですね。
いつか、やってみたいな。
この八少女さんの企画、いいですね^^
私は神話の神様に疎いので無理ですが、ほかの皆さんのSSも、読んでみたくなります。

URL | lime #GCA3nAmE
2013/05/26 17:08 | edit

lime さん へ

 こんにちは。
あははっ またでた 年齢疑惑説!!!!
そんなロマンないですよーー 単なる田舎の 自転車と猫を愛する中学生ですよ。
実はと 白状するような何かがあれば 面白いのですが… うーーん 恋人はもち姫!!! 
既に何回も 言っているからなぁーー

いえいえ 是非是非 一本!!!!
僕の書いたものも 題名だけで ヴァッカス関係ないし…
こーゆー競作的なものは 書く方によって特徴が出て 面白いです。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。  

URL | ウゾ #-
2013/05/26 18:17 | edit

またまた~メンゴ

「黒歴史」、、、
皆あるよーーー
だから、
面白いよね~~ウシシ^^

URL | レイまま☆ #-
2013/05/26 21:25 | edit

SS書けるウゾさん羨ましいです(´・ω・‘)

俺には短編とかそういうのは結構ニガテやったりします←

URL | シュナイダー #-
2013/05/26 22:55 | edit

おお、ウゾさんバージョン。
本当に題「だけ」一緒ですね。面白い遊びを発見したなあ。

うん、ウゾさんらしい酒場の雰囲氣がでていますね。運命の皮肉だなあ。

考えていたんですが、なぜ「アクアビット」かなって。わざわざ選んだという事は意味があるんだろうなって。もちろん、それを飲んでいるんでしょうけれど。「命の水」とひっかけたのかなってのはあるんですが、「ウィスキー」でも「ウォッカ」「オー・ド・ヴィー」でもなく、この北欧の多少マイナーな蒸留酒、私の小説では二回ほど使った事があるのですが(ひとつはブログではまだ未発表)、同じ「命の水」という名前のお酒でも、一番冷たい感じがするんですよね。北欧人のイメージから。でも、飲むと燃えちゃうくらい強い。

でもなあ、まさか14歳の中学生がそこまでお酒ワールドに強いというのも……。お願いだから飲んだ事があるなんて(ここでは)言わないでくださいね。

「イカロスの末裔」も待ってますよ〜! おおもとの言い出しっぺだし(笑)

URL | 八少女 夕 #9yMhI49k
2013/05/27 03:29 | edit

レイまま☆ さん へ

 おはよう御座います。
今まさに 黒歴史量産中ですから!!!!
十年程度たてば 黒歴史も あの頃は可愛かったとか あの頃は素直だったなぁ とか
懐かしむ事ができるのでしょうか…
ああっ 何時になれば面白と笑えるのか 中々 大人には程遠い状態ですよ。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2013/05/27 06:22 | edit

シュナイダーさん へ

 おはよう御座います。
長編得意な方は 短編あまり書かない方 多いような気がしますね。
長編と短編は 書き方違いますからねーーー
ああっ 僕 何でも手を出しているけど 得意分野ってないなぁーーー 其れも悲しい…

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。 

URL | ウゾ #-
2013/05/27 06:29 | edit

八少女 夕 さん へ

 おはよう御座います。
そう 題名 お借りしています!!!!
八少女さんの バッカスは表通りの綺麗なバー なのに対して 僕ののは 裏通りの胡散臭い酒場…
同じ題名にして いいのだろうかと 悩みました。

ああっ アクアビットですか…
始めは 蒸留酒全般の名称 スピリッツと付けようと思っていたのですよ。
でも 範囲が広すぎますからね…
そこで 殺人と言う 古代からある事柄を扱っているので スピリッツの中でも 
一番古いイメージのある アクアビットにしたのですよ。
まぁ それだけ 凄い意味がある訳ではないのです。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2013/05/27 06:38 | edit

こんばんは、TOM-Fです。

「バッカスからの招待状」、シリーズ化しそうですね。
場末の安酒場で飲む、人生に疲れた男たち。いいですね、渋いです。
この事件(?)を通して、この元刑事と作家は、奇妙な友情を結んだようですね。
そして、人の死とは、肉体が滅びたときではなく、他人の中から忘却されたときだ、と誰かが言っていたことを思い出しました。
だから、「殺していないのだ」とは、さすが作家らしい言い分だなと思います。

とても、面白かったです。
「イカロスの末裔」、私も楽しみにしています。

URL | TOM-F #V5TnqLKM
2013/05/28 19:05 | edit

TOM-Fさん へ

 こんばんは。
本当に 神話お題シリーズの中でも 此の バッカスからの招待状 幾人か書いていますからね。
同じ題名 同じ様な酒場の舞台設定でも 見事に雰囲気が違いますからね 面白いです。
僕の書く酒場は 何故か安酒場になってしまってーーー 八少女さんの書くような 
お洒落なバーも書いてみたいのですが… 書けない!!!!

えっ… 待っているのですか イカロスの末裔… そのうち放置するかもと思っていたのですが 
取り敢えず頑張ってみます。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2013/05/28 19:40 | edit

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://uzo242.blog.fc2.com/tb.php/622-37dba5be
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)