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百鬼夜行に遅刻しました

 オリジナルの小説を中心に 偶にゲーム 時々映画 稀にミステリー 膝には猫で お送りしたい所存です。

ヴァルキルリアの恋人たち  

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うん 此れもまた 偶然なのですが 八少女さんの作品と題名がかぶってしまった。
まぁ 八少女さんから 別にいいよとのお許しを頂いているので 載せてしまいます。

八少女さんの作品とは題名は同じですが かなり趣が違うので まぁいいかな…

興味のある方は 下記からどうぞ。

 



   ヴァルキュリアの恋人たち

 其の 醜く年老いた男は 一片の古く綻びた 白い大きな羽根を愛おしそうに慰撫する。
肉は削ぎ落ち 病的に白く乾燥した筋張った指先が 昔の… 若き頃の感情を思い出し 熱を帯びたかの様に…

「私は 世界に膝まづかせようと 挑んだ。貴女に 逢う為に。」


先の 世界を巻き込んだ 世界を地獄絵図に陥れた大戦…
私は 一介の衛生兵として野戦病院に詰めていた。
一応 医師免許はあるが 全く実地の医療に関わった事のない 単なる 医学生でしかなく…

いや おそらく 私がベテランの 優れた技術を持つ医師であったとしても 
何等 状況は変わらなかっただろう。
大型のテントを張っただけの場所に 粗末な滲みの広がるベットを並べ 
其のベットすら十分とは 言い難く 不衛生な地面に直接 怪我人が手足を丸めて 転がっている。
薬品も設備も 不十分 いや ほとんど何もなく…

医師の仕事は 最期を看取り 死亡診断書を書き記し 遺品を整理し遺族に送る。
医師と言うよりも 事務の様な仕事が主であった。

その様な状況下で 一種の妄言が ひたひたと広がっていた。
避けがたい死を前にした兵が 一枚の白い羽根を握り締めて…
白鳥だろうか 鷺だろうか 鳥の種類に詳しくない私には 判別がつかなかったのだが
白く大きな羽根を握り締めていた。

此の羽根は ヴァルキュリアが落していった羽根だ。
此の羽根を持っていると ヴァルキュリアが死を看取ってくれる と…

そう ヴァルキュリアは 神々の黄昏の為に 優れた人間の魂をかり集め 導き
かり集められた魂は 死して後までも 戦う。 
当時の 若く愚かであった私は 戦争で死んでいく者が 死の後まで 戦うつもりなのかと
心の片隅で嘲笑っていた。

そう 唯 戦場の片隅で死んでいく… 出来うるならば 恋人の腕の中で恋人の瞳を見詰め 恋人の頬を撫でて
ごめんね 有難う と 謝罪と感謝の気持ちを伝えたい。
其れは出来うるはずもない望。 
絶望した兵が紡ぐ希望が 最期の一時 女性の腕に抱かれたいと 母親でもいい 恋人でもいい 娘でも… 
諦観の気持ちが生み出した恋人であり 死神 其れがヴァルキュリアだった。

私は 心の片隅では 何もできない医療への当てつけの様に感じて ヴァルキュリアへの妄言を
憎々しげに思っていたのだが また一方では 神を口汚く罵る兵ですら 最期は白い羽根を握り締めるさまを
目のあたりにして 何処かで救われていた。

そう 私は ヴァルキュリアの存在は 死にゆく兵の妄言 精神安定剤程度にしか思っていなかった。
あの時まで…

そう 大戦も末期 敗戦が色濃くたちこめて…
少年兵の様な 年若い兵に交じり 普通であれば 戦場に立つ筈のない様な人物が 前線に立ち始めた。
その様な大物の一人が 傷付き 野戦病院に送られてきた。
何もない 野戦病院としても テントの一角を区切り個室とし ありったけの薬品を投入し…

朝の光に輝く 月の光の様な真珠色に輝く大きな羽根が 辺り一面に舞い落ちていたのですよ。
其の舞い落ちる羽根のなか 其の誰よりも残虐に敵を薙ぎ払い 誰よりも味方の兵を救った人物は逝った。
ヴァルキュリアに英雄として迎え入れられたのか 又は 魂を冒涜する者として 狩られ滅せられたのか…

そう 私は魅せられたのですよ 此の死の恋人に。

彼女に逢う為に 私は世界に挑み続け 混乱に陥れ 今の私には 独裁者と言う罵りは心地よく響く。

もうすぐです。
彼女は 私の魂を狩にくるでしょう。
英雄として迎え入れるのか 魂を冒涜する者として狩り滅するのか その様な事は 如何でもいい。
唯 私は 彼女に逢いたいのですよ。
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category: ミステリー

コメント

お許しも何も、「神話系お題」のおおもとはウゾさんの「イカロスの末裔」ではないですか。こちらこそ楽しませてもらってます(笑)

このヴァルキュリアは、かなり本物に近い! 怖っ。
キリスト教の観点から言うと「たくさん殺した悪者」でも、ゲルマン神話的には「ヴァルハラにふさわしい英雄よ、さあ、こちらへ」でしょうね。

で、その人殺しはしていない老人のところには何がやってくるのでしょうか。

URL | 八少女 夕 #9yMhI49k
2013/06/11 04:04 | edit

八少女 夕さん へ

 おはよう御座います。
僕の イカロス… は 単なる切っ掛けですから 他の題名は 八少女さん発案であり 
神話系で遊ぼうと言いだしたのも 八少女さんですからねーーー
僕は 単なる参加者ですよ。

うん 何のひねりもない 題名そのままの内容になってしまいました!!!!
何となく ヴァルキュリアの魅力に落ちた人物を書いてみたくて こーの様になりました。

此の老人の取った行動は ヴァルキュリアに逢いたいと言う観点からは おそらく正しい。
此の老人が 医療の道を究め 人を救い続けても ヴァルキュリアは来ない。
ヴァルキュリアの欲する人物は 心の高潔な聖者ではなく 独裁者でもいい 力のある者でしょうね。
此の老人… ヴァルキュリアが来なければ 文句言うのだろうなぁ…

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2013/06/11 05:32 | edit

タイトル観てさぁ、
ギリシアとかヨーロッパの神話をベースに
そうぃう色が強いのかと思ったけど・・・

あれ思い出したーーー
えぇーとえぇーと、
映画の「イングリッシュ・ペイシェント」、
そうそう~これを彷彿したなぁ。
なかなか 良い映画だった。
あぁいう、最期の最期に
浄化されたような状況や心情を、
ある意味あきらめ、または悟り~
みたいな感情を描いてるように、
私は感じた映画だったから、、、
なんか読んでて、それ思い出した。


URL | レイまま☆ #-
2013/06/11 10:55 | edit

レイまま☆ さん へ

 こんにちは。
ヴァルキュリアは 北欧の方の神話の女神ですね。
神々の黄昏に備えて 勇者の魂を集めるのが仕事。

イングリッシュ・ペイシェント ああっ 砂漠の映像が綺麗な映画でしたね
音楽も とても良かった。
女性もとても 魅力的 男性も 魅力的 いい映画でしたね。
「何故 オレを治そうとする」「看護婦だから」 印象的でした。

うん 確かに諦めが生み出した恋人としてのヴァルキュリア 死神でもいいと言う感情だからねーー。
此の老人は 魅入られてしまったのでしょうね…

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2013/06/11 15:05 | edit

拍手コメント頂いた方 へ

 こんにちは。
ほんとに 無理しないで下さいね!!!!
暇な時に 暇潰しにでもが 僕のブログのモットーですから。

うん 掌編の案は色々とあるのですが 中々 書く時間が少なくて…
頭の中で放置状態のモノが どんどんと増えているよ。

拍手コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2013/06/11 15:09 | edit

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

 |  #
2013/06/11 15:59 | edit

こんばんは。

ウゾさん版『ヴァルキュリアの恋人たち』ですね!
待ってました。

それが救いなのか、死してなお戦わなくてはならない絶望なのかは本人のみぞ知る、ですが、死に際にあってその手を取ってくれる存在というのはありがたいものだったかもしれませんね。

果たして、ヴァルキュリアは老人をヴァルハラへと導くのでしょうか?

URL | 栗栖紗那 #T7ibFu9o
2013/06/11 17:59 | edit

鍵コメ頂いた方 へ

 こんにちは。
うん 綺麗な映像 音楽 ……
ああっ 僕も また見たくなったなぁ 探して見るかな。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2013/06/11 18:19 | edit

栗栖紗那 さん へ

 こんにちは。
うん 題名其の儘で捻りがなかったなぁーーーー
でも 題名を見た時から ヴァルキュリアに魅了された老人しか思い浮かばなくて…
死神なのか女神なのかは それぞれの価値観 見方によって変わるのでしようが 
知り合いが誰もいない地では 死神であろうとも 自分を抱き締めてくれる存在は大きいでしょうね。

此の老人… ヴァルキュリアが来なかったならば チェンジ!!!とか言って ヴァルキュリアが
来るまで文句言ってそうーーー

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2013/06/11 18:28 | edit

インターネットで解らない言葉と調べながら読んでいる低レベル読者です。
何とか、読みました。
続きが楽しみです。この老人は果たしてヴァルキュリアに会えるのか、そして、
会えたとしても、どのような審判が待っているのか??

URL | ペチュニア #-
2013/06/11 20:30 | edit

ペチュニアさん へ

 こんばんは。
ヴァルキュリア自身 北欧神話の女神ですからねーー ギリシャ神話程 有名ではないですからね。
其れに 適当に読み飛ばして頂くなり…
好き嫌いもあると思うので 無理される事ないですよ。
 
すいません おそらく 此処で終わりで 続きを書く事はないと思います。
此の老人 迎えに来た死神に文句を言って ヴァルキュリアが迎えに来なければ 私は死なない!!!
とか 無謀な屁理屈を言って 死神を困らせていそうです。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2013/06/11 20:44 | edit

神話もの、ウゾさんバージョン

いつもながら、お見事!
やっぱり、ウゾさんの年齢が、というよりもウゾさんが不思議だわ。
死に纏わる物語をこうして感じて、編み出して、形にする。
こういうのは結局、感性の世界なのですよね。
うん、若い時のほうが死が近い(ただし観念の死だけど)ってのは、通り過ごしてきた昔を思うと、自分でも覚えがあるのですが、こうやって形に表すことができたかなぁ、と思うと、さすがウゾさん、と思ったのでした。
そう、死って魅惑的でなければならないのかもしれません。
餓え、病気、死、これらを恐れて人間は惑うのですが、そこでその恐怖を覆うような存在から、死は甘いものだよと囁かれたら、さて、安心するのか、余計に惑うのか……
しみじみ読みました。ありがとうございました(^^)

URL | 大海彩洋 #nLQskDKw
2013/06/11 22:33 | edit

もう、何でここまでお上手に書けるんでしょうか。

俺にもその才を分けてください!

しかし、「死」って色んな解釈ありますよね。
名誉の死もあれば、非業の死もある。
それがええことなんか、悲しいことなんか、
それを決めるのは本人なんちゃうんかなって
時々そういう話を書いてて思います。

URL | シュナイダー #-
2013/06/11 22:50 | edit

大海彩洋 さん へ

 おはよう御座います。
捻りもなく 題名そのままで 如何なのよ ひねれよ と言われそうですね。
書いている時は 解らないですが ブログに載せて 冷静な目で見ると… ひねれよと…
確かに 若い時の方が 死の恐怖も手近で 死が 妙に魅力的に思えたりするのでしょうね。
でも 其れは 親しい人の死を知らない 頭の中だけの死で 文字だけの死。
ある程度の年齢になり 友人の死もあり 複数回葬式も経験すると 死は 映像としての死になり…
何時の間にか 死の世界の方に知り合いが増えると 死が身近になってくる… 
何時か 死は 散歩へ行くような気軽なものへと 変わるのかと…思ってはいるのですが。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。 

URL | ウゾ #-
2013/06/12 06:06 | edit

シュナイダーさん へ

 おはよう御座います。
僕の文章は 上手いのではなくて 癖が強いのですよーーー
色々と 自分なりに自分の世界観を描き出そうと 試行錯誤している間に こーなってしまった…
もう 戻れない… 一度ついた癖は 中々抜けない…
その意味を決めるのは 本人 そして 親しい者にとっては 名誉ある死も 
老衰の様な穏やかで幸せな死も 非業の客死も すべて 単なる死。
そー考えると ヴァルキュリアは 親しい人を連れていかれる者にとっては 女神ではなく 
単なる死神なのですよね。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2013/06/12 06:41 | edit

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