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百鬼夜行に遅刻しました

 オリジナルの小説を中心に 偶にゲーム 時々映画 稀にミステリー 膝には猫で お送りしたい所存です。

ワタリガラス異聞 - 迷蝶 4  

PB190043.jpg


 ワタリガラス異聞 もう少しで終わる!!!!

興味のある方は 下記からどうぞ。

 


   ワタリガラス異聞 - 迷蝶

 気配が消えた。

追いかけても 追いかけても 追い付けない足音。

耳の奥底から聞こえる 少女特有の甲高い 謳う様な声音。

此のウツツなのかマボロシなのか 俄かに判別の付かない悪夢の様な建物から
白い少女は 消えた。

庭先の桜が雪の様に 止めなく舞い落ちている。
白い白い花弁が 全てを覆っていく 覆っていく 消えていく。

月の光が煌々と青白く 明るい 薄い人影が落ちる。

ひたっ ひたっ きしっ きしっ …… と オレの足音だけが響いている。

白い少女が消え そして桜が消えて

ハラハラ ハラハラと 白い燃え滓だけが 降り頻り 降り積もり



「この 嘘と法螺と馬鹿話と 悪趣味と酔狂とキワモノとワルノリを三日三晩煮込んで
冷凍庫に入れたまま一年間ほど忘れていた様な 正義は隣町の駅前に落してきた三流ゴシップ雑誌に拠ると
我が永遠の下僕 ワトスン君の白昼夢に現れていた建物は 迷蝶亭と言う名で実在したらしい。
実に 曰くつき 悪趣味で魅力的 私の好みだ。」
ハロルドは ザラザラと 実に紙質の悪いカストリ誌に視線を落したまま 悪態を付いている。

「そんな 三流ゴシップ誌 信頼性皆無じゃないか…。」
俺は 素直に疑問を口にする。

「何を言っているのかな 三流ゴシップ誌を愛読している 我が下僕の言葉とは思えないな。
この様な雑誌にしか 書けない事柄もあるのですよ。
三流ゴシップ カストリ誌だからこそ書ける 書き残す事が出来る…

ワトスン君 君が白昼夢で訪れていた建物は 迷蝶亭。
ある 天才肌と目されていた建築家の 其の滴り落ちる様な才能を注ぎ込み創り上げられた
まさに 白昼夢の様な建物。

其の建築家は 一つの昼と 一つの夜を其の建物で過ごし…
其の後 その建物をすべて無に帰した 火を放ち 全てを白い灰にかえした。

そう 余りにも奇異な行動の為 今ではこの建物については タブー扱い
幸いにも この建物が 完成した後 この世に存在したのは たった一日 
人には知られていない存在だからね。」
ハロルドは 相変わらず趣味の軽い嫌味を交え…

「御待たせ致しましたね 初めての訪問者ですね。 
歓迎しますよ 気配が全くない幻の様な方。

其れでは 要件をお聞きしましょうか。」
ハロルドが ゆっくりと振り返る。

其処には 白っぽい砂色の極東の島国の民族衣装 キモノと言うもの上に フワリとマントを
インバネスコートを纏っている。
髪が白っぽく 若くも年老いている様にも見える 底知れぬ雰囲気が漂っている青年と…

白い少女 いや 白い少女によく似た 否 白い少女其の儘の…
夜闇の様な深い黒に あざやかな揚羽が舞っている見事な袖の長いキモノ。
桜が舞い散る帯が とても 鮮烈で 目を奪われる。
背中に流れ落ちる黒髪 そして あの白い少女と同じ 鈍色の灰色がかった銀の瞳。

二人には 気配がなかった。
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category: ワタリガラス異聞 - 迷蝶

コメント

イチョウ?の紅葉綺麗ですね☆
奈良はお寺が多いからイチョウの木も多いのかなあ〜。
ぎんなんが落ちているのは、ちょっとクサいけど、何本か木が有ったら
ちょっと風情ありますねえ〜。
紅葉の季節大好きです。

URL | ペチュニア #-
2013/09/07 06:57 | edit

ペチュニアさん へ

 おはよう御座います。
うん イチョウです。
近所の無人の小さな神社の庭先に植えられている。
神社の建物より 大きなイチョウですよ。

うん 一本だけだから ギンナンつけないですね。
自転車で二十分程度言った処に イチョウを街路樹にしている一角があって… 秋には酷い匂いをばら撒いていますね。
すっかりと初秋って感じになってしまって… 夏終わりましたね。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2013/09/07 08:15 | edit

儚げで美しい、ワトスン君の脳内描写と、対照的なハロルドの表現が面白いですね。
でもハロルドの言葉の比喩は、なんともボキャブラリーが豊かで舌を巻いてしまうw
そして、動き一つ一つが 舞台役者のようにソツがない。
彼も好きですね~。

そして、現れたのですね。
気配のないような・・いや、実態すらないような方たち。
何を語るのでしょう。

URL | lime #GCA3nAmE
2013/09/07 10:45 | edit

limeさん へ

 こんにちは。
ハロルドはねーーー 慇懃無礼で悪趣味 ある意味 粋人ですから…
そして 結構図太い…
此の図太さがなく 妙に脆いのが貯金箱ですね。
此の 探偵と貯金箱 一見似ているのですが 違いがあるのですよ。

うん 上手くく纏められたら 後 一回で終わり。
最後は可愛い感じに 終わらせるつもりです。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。 

URL | ウゾ #-
2013/09/07 17:28 | edit

お、おや?

現れたのは、和装の二人だ。
あれ? 髪の色が違う? でも氣配が消えた後に現れたのだから本物?
和服も似合うだろうなあと思うのです。
特に少女が着ているのは黒地に蝶の柄の振袖。私のイメージでは加賀友禅かなあ。
さて、どうなるのか、最終回を楽しみにしています。

URL | 八少女 夕 #9yMhI49k
2013/09/07 19:23 | edit

意外に三流記事が役に立つときはありますよね。
・・・意外に、という話ではありますが。

ただ、発想が奇抜なので、
そういうところでは発想や閃きのきっかけという観点から言えば有用ですよね。

URL | LandM #-
2013/09/07 20:54 | edit

八少女 夕さん へ

 こんばんは。
うん 和装の方の二人組です!!!!
まぁ 次回 此の二人の正体と 白い少女についてですね。
そして 頑張ったワトスン君への御褒美!!!!

少女の纏っているイメージは 艶のない黒で古典柄の揚羽蝶が 少し大きめに配置されている振袖です。
うん 本編のワタリガラスと人形の白と黒のイメージが反対になっています。
後 一回で終われるかなぁ… 

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2013/09/07 21:08 | edit

LandM さん へ

 こんばんは。
三流雑誌は 始めっから信憑性皆無ですからね 好き放題で無謀な亊を書いていても 所詮誰も気に留めない。
意外に 後になって そういえばと言う様な事ありそうです。

発想の奇抜さと大胆さがウリですからね… 
確かに 其の点は有用と言うか… 面白い点ですね。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2013/09/07 21:14 | edit

ハロルドは日本から夕刊フジ(オオカミ新聞(嘘つき))を取り寄せてるに違いない。

白い髪の少女と黒髪の少女は対なのか?
外見は類似してるけど性格や立場が真逆なのか?
ミステリアスな少女だ。その少女にワトソン君が連れて行かれないように祈ってます。

URL |  #LkZag.iM
2013/09/07 22:17 | edit

絶妙なさじ加減といいますか、ワトスン君の見た光景と、
ハロルドの見た光景のバランスがええですねぇ。

こういう色彩豊かな表現を俺も目指したいものです。

URL | シュナイダー #-
2013/09/07 22:35 | edit

22:17 にコメント頂いた方 へ

 おはよう御座います。
確かにーーー 態々 高い料金を払い空輸してそう!!!!
三日程度遅れた新聞を 嬉々として読んでいる。

ワトスン君は 探偵が手放しませんよ。
持って行こうとすると ありとあらゆる手を使い 嫌がらせの攻撃がきますからね。
少女たちについては 次回ですね。
可愛くオトしますから 大丈夫ですよ。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2013/09/08 07:06 | edit

シュナイダーさん へ

 おはよう御座います。
まぁ… ハロルドですから… この人物がマボロシを語りだすと 裏がありそうで 不穏ですよ。
この人物は 慇懃無礼に嫌味を言っている程度が平和でいいかな。

うん 此のワタリガラスのシリーズは 五感を大切に描いてみるを目的のシリーズですから 音や色 肌触り 其の辺りを書くようにしています。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2013/09/08 07:11 | edit

迷蝶亭

やっぱり気になる名前ですね。
この世に1日しか存在しなかった建物、幻想的で、その存在が現実だったのかどうかも疑わしい、というのが、感じ入るところです。
まさにこの世が夢かうつつかっていう……胡蝶の夢ですね。

そして、実は三文雑誌にしか書けない真実がある…というのも、確かに言えますよね。縛りが多く、真実かどうかを確かめなくてはならない、下手なことは書けないようなハードルの高い雑誌ではなく、本当かどうか読者も疑いながら読んでいる雑誌。その中の真実は何か、真実はないのか、あれこれ想像しながら。

ウゾさんのこの物語ももうすぐ終わりなのですね。
真実が何か、見極めないとならないのですね…(^^)

URL | 大海彩洋 #nLQskDKw
2013/09/08 13:06 | edit

大海彩洋さん へ

 こんにちは。
まぁ 実はワタリガラス断片で 和風でワタリガラスって如何だろうか 少しだけ書いたあの建物が 迷蝶亭なのですよね。
迷った魂 蝶が一時訪れると言う建物…

三流雑誌だからこそ しれっと書いてしまえる事ってありそうに思えるのですよ。
影響力の強い所は 色々な意味で縛りが強く 書けない事柄多そうですからね。
三流雑誌は 嘘ですよ 法螺ですよと言い放ち こっそりと書く事が出来そうで… 予想外に真実に近い所掴んでいるのかもなぁと思ってしまう。

うん もう少しで終わりです 30000hit記念 予想以上に長くなってしまいました。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2013/09/08 17:25 | edit

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