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百鬼夜行に遅刻しました

 オリジナルの小説を中心に 偶にゲーム 時々映画 稀にミステリー 膝には猫で お送りしたい所存です。

美しい世界 美しい時代 人に相応しい安っぽい星が 地上に舞い落ちる頃   

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ひと月に 一回程度書いている 尋青年の話です。
今回は 十二月と言う事で クリスマス編です。

興味のある方は 下記からどうぞ。






    美しい世界 美しい時代 人に相応しい安っぽい星が 地上に舞い落ちる頃


 虚空から 希望の燃え滓の残骸が堕ちてくる 地上を目指して。
甘ったるい偽善のように 地上を真っ白に塗り替えて 全てをリセットする。

熱のない光が 街を彩り オレはゆっくり ゆっくりと 自らの小さな住処を見詰める。
母が飾り付けた 細やかな飾りが 雪に濡れている。



「ふふっ 今日のアドベントカレンダーには 可愛いスノーマンの人形がついていたわ。」

「今日は 綺麗な風景の写真 何処なのかしら とても素敵。」

母は 嬉しそうにアドベントカレンダーの窓を 一つ 一つと開き クリスマスを待っている。
家族が… 皆が揃う 何気ない其の時を。

小さな あどけない指先で 毎年 毎年 少しずつ買い足し増やしている クリスマスの飾り付けを取り出し 
嬉しそうに目を細めて 飾り付ける。
元々は外国製のクッキーが入っていた アルミ製の缶に リボンや蝋燭 硝子のオーナメント。
小さな陶製の聖母像に三賢者の人形を 窓際に置く。

大きなツリーの下には 幾つものクリスマスの贈り物が積まれている
赤や緑 金色や銀色のリボンで飾られた 大小 幾つもの贈り物。

「今年は あなたが ずっと欲しがっていたものよ きっと喜んでくれるわ。」
母は 一際 入念に飾り付けられた 一つの箱に手を伸ばす。
愛おしそうに 恰も 母の心 其の物が包まれている様に。

「ああっ 楽しみだな クリスマスが待ち遠しいよ。」
オレは 母に気取られない様に 無邪気に喜んで見せる…

馬鹿野郎 オレの馬鹿野郎 オレはぐしゃぐしゃに歪んだいびつな 引き攣った笑顔で
オレの頬には 母には決して見せたくないモノが 伝っている。

母は 困惑した表情で 唯 クリスマスには あなたの好きな料理を沢山作るからね と言って 
泣き声を殺しても ポタポタと伝い落ちる涙を 其の小さな手で拭ってくれた。

そう クリスマスの贈り物は 知っている。
昨年も 其の前も 其の前も そして 其の前も…… 同じ。
二つのグローブと ボール。

夢の中で生きている母にとって オレは 父とキャッチボールをする事が 大好きな少年のまま。

三十八個のグローブと 十九個のボール。

今年のクリスマスで 四十個のグローブと 二十個のボールになるだろう。

オレはヤドリギの白い実を 力任せに捥ぎ取り 握り潰し…
母の額に そっと口唇を落す。

如何か 母の夢が覚めないでくれと オレは不遜で傲慢で馬鹿で… どうしょうもなく 弱いのですよ。

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category: 美しい世界 美しい時代

コメント

う~ん

これは……何とも奥深く、切ない物語ですね。
説明したら説明できることを、あえて少ない言葉で語っているので、読む人の頭の中で想像する部分も出てくるけれど、この行間を埋めているもの悲しさが、クリスマスというお祭りのイベントの中でしみじみと語られている……
思えば、キリストは生まれた時から十字架の運命を背負っていたわけで(宗教的に言えば)、クリスマスって生誕の喜びの中に、苦難の階みたいなのがすでに眠っているんですよね…
そんなイメージを思い浮かべていました。
このお話、何だか大好きな花郁悠紀子さんの漫画に漂っている切なさと寂しさと優しさとを感じさせられました。

URL | 大海彩洋 #nLQskDKw
2013/12/04 01:17 | edit

おはよう御座います。
ウーム、何となく解るような・・・。
子供は、精神的に大人になっているのに、親にとっては「カワイイ幼少の頃」のまま、って言う感じでしょうか。
何か身につまされますね(笑)。

お写真の上から見たクリスマスツリー(?)。
なんか。「宇宙的」に見えますねー。
撮影の仕方によって、こうもなるのかー。
ではでは・・。

URL | ペチュニア #-
2013/12/04 06:38 | edit

大海彩洋さん へ

 おはよう御座います。
うん 次回 一月分ぐらいから この話 急激に動き出しますよ。
まったり のったり アメリカの片田舎の日常から…
一月 二月程度で 此のお母さんの事柄もケリがつき。
そして 尋青年は 如何するのか 初めて 自分で考え始めます。

うん アメリカの片田舎 家族で集まりご馳走を食べる 凄くありふれた光景を願っている お母さん…
本当に 夢の中に逃げ込み 弱い人なのか 其れとも 逃げ込み かたくなに閉じこもる事が出来る 強い人なのか…
おそらく 尋青年の方が 弱いのでしようね。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2013/12/04 06:51 | edit

ペチュニアさん へ

 おはよう御座います。
うん この話は続き物なのですよ。
前提として この話では 日本が鎖国していて 其の為 此のアメリカ人のお母さんは 鎖国時に強制的に帰国させられた。
其の時 お腹にいたのが 此の尋青年で アメリカと日本のハーフ。
お父さんは 鎖国時に日本をすて アメリカに行く事ではなく 妻子を捨てる事を選んだ。

其の為 此のお母さんの精神は 崩れて 現実を受け入れられなくて…
一番幸せな状況 父が日本を捨て アメリカで一緒に過ごしていて 子供は 可愛い少年で 父とキャッチボールする事が大好き と言う 幸せな夢の中に自分を閉じ込めている。

うん 写真は 近所のスーパーの馬鹿でかいクリスマスツリーです。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2013/12/04 06:59 | edit

こんばんは。

あっ、そうか!
設定は引き継いでいるんですね。
まだ前作と今作しか読めていないので、近々読みに行かせていただきます。

切ない……
うー、、鎖国時にもこんなことがあったのですかねー
学校では決して学ぶことのない犠牲者達

来月も楽しみにしていますね

URL | スカイ #-
2013/12/04 18:37 | edit

スカイさん へ

 こんばんは。
うん ゆっくりと一か月に一回程度書いているシリーズです。
尋青年の二十歳から二十一歳までの 一年間の物語。

うん 鎖国と言っても 過去のイメージではなく 未来に起こりそうな感じのイメージで書いています。

うん 特別の悲劇ではなく ありふれた 何処にでも転がっている悲劇なのですが。
此の母は とても弱く そして 此の尋青年も まだまだ幼く 視野が狭い。
その どうしようもない感じが 哀しいのでしょうね。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2013/12/04 19:53 | edit

回を重ねるごとに切なくて、この青年の背負ったものがずしりと来ますね。
お母さんのいる世界は、逃避の世界なんだけど、やっぱりそのままそっとしておきたい。
だけど、たくさんのプレゼントがたまっていくのも辛すぎる。
今の自分を、愛してほしいのに。

この物語は短編だと思っていたけど、ずっと続くのですね。
また会えるのを楽しみにしています。

URL | lime #GCA3nAmE
2013/12/04 20:36 | edit

lime さん へ

 こんばんは。
うん 一年間の話の予定なので… 十月の初めから始めたので 八月か 九月で終わらせる…筈!!!!
うん 此の まったりとした話も 次回程度から動き出します。
此の尋青年は 此れから 何を選ぶのか… 二十一歳の誕生日までに何をするのか そーゆー話ですね。
次回程度から 自ら考える事を放棄していた尋青年が 行動します。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2013/12/04 20:56 | edit

こんばんは~。

最初から読ませていただいて、ようやく内容が少し把握できました。
複雑な背景が読み込めたので、尋の気持ちの動きもこれで鮮明になってきました。
こういう設定は近未来か平行世界のようで、サキとしてはすごく興味深いです。
でも、お母さんの気持ち、分るような気もしますが、もっと強くなれなかったのかな?などといらないことを考えてしまいます。
負担がすべて彼にかかっているようで、すごく理不尽に感じてしまいます。
ウゾさん、このお話に救いを入れるつもりはありますか?
あ、すみません。すごく出過ぎた感想でした。
ウゾさんの文章は少し難しいですが、心を打たれます。
どのように展開していくのか、やっぱり安っぽいのかなぁなどと、ちょっとオロオロしながら読ませていただきます。
ではまた。

URL | 山西 サキ #0t8Ai07g
2013/12/08 22:06 | edit

山西 サキ さん へ

 おはよう御座います。
そうですねーー 尋青年は 二十歳と言っても まだ感覚は大人ではなくて 中二病を患っている様な 世の中をすねて 斜めから見ている様な処があります。
其の為 動作も荒っぽかったり 安っぽいと言う言葉も 尋青年のひねくれた感覚からの言葉ですね。

おそらく… 此のお母さんにとっては アメリカの片田舎で生まれ育って… 言語すらよく解らない 日本での頼りは旦那だけで…
それが あっさり捨てられた… 異国の地での不安が 必要以上に 弱くしたのでしょうね。

うん 次ぐらいから話が動きます。
救いかどうかは別にして 尋青年の一年間の話 尋青年 変わっていきますから。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2013/12/09 06:38 | edit

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