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百鬼夜行に遅刻しました

 オリジナルの小説を中心に 偶にゲーム 時々映画 稀にミステリー 膝には猫で お送りしたい所存です。

美しい世界 美しい時代 失われた時を彷徨う頃  

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月一で書いている 尋青年シリーズ 遂に日本に来ました。
取り敢えず 前回までの部分リンクしておきます。

美しい世界 美しい時代

美しい世界 美しい時代 甘い香りが立ち込める頃

美しい世界 美しい時代 冷たい雨が雪に変わる頃

美しい世界 美しい時代 人に相応しい安っぽい星が 地上に舞い落ちる頃

美しい世界 美しい時代 唯一人 頬を切り裂く風に自由だと叫ぶ頃




     美しい世界 美しい時代 失われた時を彷徨う頃

 其の男の話す英語が流暢で…
母への誠実な愛情があったと語り掛けてくるようで 忌々しくて 哀しかった。
オレの虚勢で張り詰めた心を グシャリと握り潰されそうで… 
眩暈がした。

此の日本と言う国は 既に二十年 国を鎖し… 世界の孤児として…
世界の記憶から存在を忘れられていた。
そう そんな国だ。

其れでも オレのような日本国籍の資格を持つ者の為に 月に一度 海外からの航空機を受け入れている。
そう 今のオレは日本国にとって客人のようなモノ。
まったく知り合いのいない地でありながら オレの到着を待ちわびる群れがあった。
公的機関が手配した オレの世話役であり そして… 監視役である 同じ様な年齢の青年。

そうして… オレの遺伝子の半分 今となっては唯一の血縁 父。

其の男性は流暢に英語を操り オレに近付き はにかんだ微笑を見せ乍ら歓迎の意を表す。
「日本へ来てくれた事を 歓迎する」と
毒々しく甘ったるい幼児向けの解熱シロップの様で 苦い苦い胃液が逆流する。
オレは 叩き付けたい全てを呑み込んで 唯 無言で 無言で。

君の精神的負担を考えて 私一人で来たが 今の私には家族がいると 其の男性は言った。
家族にも尋君の存在は話してある 家族も歓迎すると言っている。
君が誕生日までに 如何様な選択をするのかは 君の自由だが 其れまでの間……

オレは其の男性の言葉を遮り 断定的に言葉を 感情を叩き付ける。
「御心配なく 公的機関がゲストとして生活出来る様に色々なサービスを提供してくれますから。
時間を下さい 落ち着けるまで… あなたには聞きたい事 そして 話したい事がある。
此方から連絡をいれます。」

オレは 世話役として待ち侘びていた青年に視線を送り 待たせてすまなかったと呟いた。

「いいのか 深く突っ込む気はないが いいんだな。」
世話役の青年は 其れなりに英語を話せるようで安心した。

其の青年は オレが無言で それ以上何も言わないとあきらめたのか 小さく溜息を吐き出し。

「それでは日本にようこそ 歓迎するぜ。
荷物はそれだけか 其れでは 此れからお前が日本で滞在する間の小さな城へ案内しょう。」

オレを乗せた車が 一直線に走り出した 空港が小さく 小さく 消えていく。



    
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category: 美しい世界 美しい時代

コメント

鍵コメ頂いた方 へ

 おはよう御座います。
明日休みなのですねーーー ゆっくりと体を休めてくださいね。
此方は 今 凄く風邪が流行っているのですよーー
あーー 暖かいモノ食べたいなぁ 昼は鍋焼きうどんでも作ろうかなぁ。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2014/02/01 09:58 | edit

この日本という国にとっては、このジーン君はどんな存在になるのでしょう。公的機関が世話をするということは、けっこう重要人物ということですよね。
この父親というのが政府のお偉いさんなのでしょうか。それとも、こうやって国外からやってくる人すべてに日本は神経をとがらせているのかな。
いや、きっと徐々に分かって来るんでしょうね。
緊迫感が漂っていて面白いです。
日本でジーン・・・いや尋君、何を思うのでしょう。

URL | lime #GCA3nAmE
2014/02/01 18:51 | edit

lime さん へ

 こんばんは。
いえいえ まったく重要人物ではないのですよ。
設定上 日本は鎖国政策をとっているので 情報漏れへの警戒ですね。
実際に 日本国籍の資格を持っていても 日本語を話せる人物って少ないでしようからね…
誰か 生活する為の基本事項に付き合ってくれる人物が 必要だし。
日本国籍の資格を持っていても 実際に日本を訪問する人物は 極々稀な為 公的機関で監視する事が可能であり 監視が付く事が日本入国の条件になっている。
そう言った 感じですね。

そうですね 今は まだまったく周りが見えていない状態ですが 徐々に 周りを観察し 自分の疑問を昇華する為に動き始めます。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2014/02/01 21:00 | edit

なんとなくなんですが、尋君の「日本=父親」に対する猜疑心みたい
なのが見え隠れする感じがします・・。
鎖国している日本なんですが、尋君の心も「開いていない」みたいな・・。
最後はどうなるのかしら・・・?

URL | ペチュニア #-
2014/02/02 08:27 | edit

日本に来ましたね

ジーンくん(尋くん)、父親への感情と日本という国への感情が今後どう動いていくのか、相容れないままただ時間が過ぎるのか、大変興味深いです。
今回の父親との対面での会話のなかで、「聞きたいこと、話したいことがある」というのは、それでもまだ相手を思う気持ちがあるんでしょうね。感情の中身が正でも負でも、ベクトルが全く向いていない「無視」ではないというのが救いのような気がします。
どこへ落ち着くにしても、一度自分の気持ちを確認しないでは前に進めない、そういうことなのでしょうね。
彼の未来のために必要なこと、鎖国した日本が何を見せるのか、楽しみです。

URL | 大海彩洋 #nLQskDKw
2014/02/02 08:55 | edit

ペチュニア さん へ

 こんにちは。
そうですね 尋の心は思いっきり閉じていますね。
尋にとっては 母と自分を捨て 母が夢に逃避してしまった原因を作ったと言う そーゆー感情しかないのですよね。
まだ 何故母が愛したのかと言う部分に考えが至らない。
一応 最後は決めているので 一か月に一度の掲載ですが書いていきますよ。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。 

URL | ウゾ #-
2014/02/02 10:49 | edit

大海彩洋さん へ

 こんにちは。
遂に来ました 日本に!!!!
そうですねーー まだ 尋は… 母の最期の言葉に従っているだけで 何故 母があのような言葉を残したのか
その意味を 此れから知っていく。
母が何故 父を愛したのか 父は何故 母と自分を捨てたのか 此れから過去を知って 其処から 自分の答えを探ります。

其れが 欲している言葉を得ても 得る事ができなくても 母の残した宿題を終わらせるためにですね。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2014/02/02 10:59 | edit

両親がどちらもいる所で、その会話を聴いて育っているのと違って、この青年は両親の真実をそけぞれが勝手に語った言葉だけで想像することしか出来ないのですよね。

わざわざ足を運んでみたとしても、アメリカ社会で育った彼が、ただでさえ全く違ったものの考え方をする日本がさらに鎖国をした社会の人びとのものの考え方や感じ方に、素直に共感するようになるとは思えません。そうでなくても、はじめからやたらと反感持っているみたいだし。

彼にしてみれば、来ないで(もしくは会わないで)判断することは避けたい、でも、ここではないことを確認したいというような感じなのかなあとちょっと想像してみました。

URL | 八少女 夕 #9yMhI49k
2014/02/03 04:01 | edit

八少女 夕さん へ

 おはよう御座います。
そうですねーー 母が生きていれば 日本を訪れるなんて考えなかったでしょうね。
母の 遺伝子を尋ねよと言う言葉があり 母が手折れてアメリカ人である理由を失くし そして 日本は鎖国政策の為 二十一歳で国籍を選択するし 日本以外の国籍を選ぶと 母の最期の言葉を実行できなくなる。
此れだけ 色々と積み重なって やっと日本を尋ねる気になったのですよね。

残酷な真実でも 優しい嘘でも 何方でもいい 直接聞きたいと言った感じでしょうか。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2014/02/03 06:54 | edit

Re:

Stella発刊に伴い、コメントしに来ました~

む、これはシリーズですか。
おそらく前回分を読まずに今回の話を見てしまいましたが……主人公には複雑な問題や価値観がありそうですね
日本の体制などに対しての感情と、父親は…どうも毛嫌いしてるようですが、この辺りだけ見ても彼の過去が垣間見えるような気がします
性格が性格みたいなので波乱の予感がしますが、日本を尋ねる気になったということ自体には大きな覚悟を感じました

以上です。

URL | 篠原藍樹 #-
2014/02/15 11:15 | edit

篠原藍樹さん へ

 こんにちは。
そうですね 続き物です。
一か月に一篇書いているシリーズで 一年で終わる予定です。
まぁ… 此の主人公は二十歳なのですが… まだまだ青くて 考え方も堅くて狭くて…
今まで 感情で生きていて 自分で考えると言う事をしなかったのですよ 初めて考えようとしている。
これから 父と日本について向かい合おうとしますよ。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2014/02/15 13:22 | edit

遅くなってしまいました。

うむむ、重いですね。
尋(かな?)が抱く日本という国に抱く感情。
父親に抱く感情。その重さや複雑さが出てきているのでしょうね。
サキはまだ完全にこのお話を理解していないので少し不安ですが、そう感じました。
父親として彼は尋のことをどのように考え、感じているのだろう。
尋はどんな決断を下すのだろう?
青年の砕けたしゃべり方に少し救われますが、展開を待ちましょう。

URL | 山西 サキ #0t8Ai07g
2014/03/08 23:18 | edit

山西 サキ さん へ

 おはよう御座います。
そうですね 此の尋青年は 母の言葉がなければ日本に来ることなどなかった…
日本については 母を捨てた父がいる国程度の感覚で まったく心を開く気ないですからね。
一か月に一度書いていて 一年で終わる予定です。
此の砕けた 気さくな青年についてもふれたいのですが…うーーん 無理かな。
そろそろ 尋青年 自分の心に問い掛けます。

コメント有難う御座いました とても嬉しいです。

URL | ウゾ #-
2014/03/09 07:57 | edit

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